第3回食品ロス対策から「健康に食べる」へ 進化する仏のフードバンク政策

[PR]

 民間の活動であるフードバンク活動に対して、フランス政府は大規模な予算を投じている。一方日本では、フードバンク活動の意義が社会的にまだ整理されておらず、国の支援も限られている。フランスの取り組みから学びながら、日本でフードバンクをどのように捉えることができるのか。

 フランスでは、1980年代にヨーロッパで初めてフードバンクが誕生し、国からの支援も発展してきた。

食品ロス対策だけでは限界 フランス政府の転換

 2023年から新たに採り入れられたのが「よりよく食べる事業」という名の補助事業だ。

 フードバンクなどの団体が、有機栽培などのマークが付いた食品を買うために補助する。2024年は7千万ユーロ(約116億円)を計上した。政府の「社会的団結総局」の担当者によると、食品ロスとして出てきたものだけを生活困窮者に配るというシステムには限界があるという。食品の品質に問題があるためだ。「食品ロスとしてもらった食品は健康によくない物もある」と話す。

 実際、フランスの大手フードバンク「バンク・アリマンテール」では、野菜や果物、乳製品など、食品の質を担保することを意識して食品を集めている。

 「よりよく食べる事業」を含…

この記事は有料記事です。残り1466文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

  • commentatorHeader
    清川卓史
    (朝日新聞編集委員=社会保障、貧困など)
    2024年5月4日11時0分 投稿
    【視点】

     コロナ禍そして物価高騰のなかで、日本においてもフードバンクを含む食料支援に切実なニーズがあることが鮮明になっています。しかし、その担い手はほとんどが寄付などで活動する民間団体であり、共助の取り組みと位置づけられています。国や自治体による公

    …続きを読む