薄い皮ごと炒めれば、パリッとした食感が楽しめる新ジャガイモ。ジャガイモといえば北海道ですが、新ジャガの収穫は早春、九州からスタートし、日本を北上して「リレー」していきます。3月下旬、収穫が始まったばかりの鹿児島県長島町を訪ねました。

 眼下に青い海を望む高台の畑は赤土に覆われている。土の上には、白く丸い大小様々なジャガイモが一面に転がっていた。畑に足を踏み入れると、土のいい香りがした。

 生産者の馬場雅利さん(46)が掘り取り機でジャガイモを掘りおこす。その後ろで、馬場さんの妻や農繁期に手伝いに来てもらっている数人の人たちが、ジャガイモを拾い、かごをいっぱいにしていった。

 ジャガイモを手にとった馬場さんは、土を落としながら「いいのができているよ」とほほえんだ。皮は包丁ではむけないくらい薄く、手で少しこすっただけでほろほろとむけた。

 鹿児島県は、温暖な気候により、冬にもジャガイモが育つ。県の北西端にある長島町では12~1月に植え、例年は4~5月に収穫するが、今年は1、2月の温度が高く生育が早かったため、収穫は3月下旬から始まったそうだ。

 長島町産は、ミネラルを豊富に含んだ粘土質の赤土で作られ、「赤土バレイショ(ジャガイモ)」として知られる。この土で作ったジャガイモは、きれいな色となめらかな肌が特徴だ。保水性のある土で作るのでジャガイモの水分のバランスがよく、加熱するとホクホクになるという。小さめの新ジャガは、皮ごとそのまま揚げて食べるのもおいしい。

 ただ、新ジャガには明確な定義…

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