「時間です」水俣病患者側の発言遮りマイク切る 環境相と懇談で国側

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今村建二
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 公式確認から68年となった水俣病をめぐり、熊本県水俣市で1日に開かれた、伊藤信太郎環境相と患者らでつくる8団体との懇談で、患者側が発言している最中に環境省職員がマイクの音量を切って発言を遮る場面があった。持ち時間を過ぎたことを理由にしたが、団体側からは「これでは患者の声を聞いたことにはならない」との声があがった。

 懇談は慰霊式典後、環境相が当事者の声を聞く機会として設けられた。

 懇談では、ある団体の発言が3分を超えると、司会役の環境省職員が内容をまとめるよう促すと同時に、いきなりマイクの音声が切られ発言できなくなった。

 続いて別の団体が「発言時間を譲ります」として、その次の団体に発言機会をしっかりと与える配慮をした。ところが、次の団体の発言が6分になると、環境省職員が「お時間です」と遮り、マイクが切られた。

 さらに別の団体の代表が、水俣病と認められないまま昨年亡くなった妻のことを切々と訴えていたが、ここでも持ち時間が過ぎるとマイクの音声が切られ、発言を終了させられた。このため場内は騒然となった。

 懇談終了後、団体側が「マイ…

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    中小路徹
    (朝日新聞編集委員=スポーツと社会)
    2024年5月3日23時20分 投稿
    【視点】

     何のための懇談会なのか。公害の患者たちから「話を聞く」ということの根本の意味をわかっていれば、少なくともマイクを切るという行為には出ないはずです。  記者としてインタビューをする際、取材に応じてくださった方が話したいと思っている前提であれ

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    岩尾真宏
    (朝日新聞名古屋報道センター長代理)
    2024年5月3日23時34分 投稿
    【視点】

    政権発足当初こそ「聞く力」をアピールした岸田政権でしたが、その実態はどうでしょうか。2021年8月、自民党総裁選への立候補表明にあたり、岸田文雄首相は「国民政党であったはずの自民党に声が届いていないと国民が感じている」と断じ、「国民の声に耳

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